「日航123便 墜落の新事実」を読み終えて

河出書房新社から「日航123便 墜落の新事実」が発売になった。著者は元日航客室乗務員の青山透子氏である。

青山氏は日航123便事故で多くの同僚を失い、前著「天空の星たちへー日航123便 あの日の記憶」(マガジンランド 2010年)で123便の事故原因に対する数々の疑問を提示している。

今回はさらに事故原因を深く掘り下げ、123便でお亡くなりになった乗員乗客の方々の無念さを浮き彫りにしている。

事故当時の運輸省航空局事故調査委員会が公表した事故調査報告書と真っ向から対立する内容の書籍はこれまで数多く出版された。

多くの書籍が、事故調査委員会が主張する後部圧力隔壁の破壊で急減圧が起こり垂直尾翼が破壊され、同時に油圧系統が破壊され操縦不能に陥り墜落したという事故原因の矛盾を指摘している。

特に事故調査報告書にあるような毎分30万フィート毎秒の減圧が発生したならば、乗客や機内の備品が機体後部に向かって吹き飛ばされてもおかしくないはずである。

しかし乗客が撮影した写真や生存者の話からは、客室内に激しい減圧が起きた証拠は何一つ見られず、急減圧時に行う酸素マスクの着用を操縦士が行なっていない。

そうなると、垂直尾翼は外部から何かが衝突して破壊されたと考える方が自然である。外部衝突による破壊説を元に事故原因を推定すると、さまざま状況がつじつまが合うのである。

特に米軍機が事故現場で乗客を救助寸前だったにもかからず突然帰還命令が下ったり、墜落現場が翌朝まで意図的に隠された疑いがある点を考えると、真の事故原因を隠蔽しなくてはならないことがあると考えるのが自然である。

本書ではさらに墜落現場付近での自衛隊員や小学生の目撃証言が詳しく書かれている。123便の墜落直前に現場付近で2機の自衛隊戦闘機が目撃されているのである。

私は本書を読み終えた数日後に、日本航空の安全啓発センターを訪問して123便の残骸や乗客乗員の方々の遺品を見る機会があった。

客室の空気が抜ける程度の減圧で、巨大な垂直尾翼が破壊されるだろうか。しかもベントホールと呼ばれる空気抜きの弁が装備されているのである。

本書を読み、123便の残骸を自分の目で確認することで、事故原因への疑惑を新たにした次第である。



悲劇と生還 航空事故から見る世界

人間は乗り物を発明したと同時に、事故をも発明しました。死のリスクを背負い到達しようとしている境地は何なのか。生命現象と意識の謎を追求する中で、過去の航空機事故から人間と世界の矛盾を俯瞰し、安全への追求で見えてくる未来を考察してゆきたいと思います。

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