524人の命乞い

 日航123便事故で愛する肉親の命を奪われた小田周二氏による2冊目の著書である。

 本書は今年の8月に発売になって以来、しばらく書店やアマゾンから消えてしまい、私はネットオークションでやっと手に入れた。

 最近になって出版社から2017年10月5日に重版出来予定、2017年10月10日取次倉庫に搬入し他とのコメントがあった。さらにアマゾンの判断によりカートが開かれたとのこと。内容が内容だけに何か事情があったのだろうか。

 前作「日航機墜落事故 真実と真相」は文体が論文調でやや難解な面もあったが、本書はその内容を噛み砕いて、大変読みやすい構成になっている。

 自衛隊の仮想標的機あるいはミサイルが日航機の尾翼に衝突したというそもそもの事故の始まりに着目した書籍が多かった中で、本書は30分以上も飛び続けていた123便が何故突然御巣鷹山の尾根に墜落したかの原因と経緯に迫っている点が大変興味深い。

 日航123便の事故に関して、尾翼への外部からの衝突説を一笑に伏す人も多いが、それ以前に当時の運輸省航空事故調査委員会の発表した事故調査報告書がいかにデタラメであるかは本書を読むことで理解できるはずだ。

 何れにしても日航123便の事故原因は再調査をする必要がある。

 何故なら事故原因と墜落に至った経緯は公式には何も解明されていないのである。

 2年前の8月に日航123便の残骸と思われる破片が海底で見つかったが、その後何ら報道されていないのが不思議である。

 マスコミはこの問題について何故黙っているのか。本書をテレビや新聞で大きく取り上げ、野党は123便事故の再調査を政府に迫ってほしいものである。



悲劇と生還 航空事故から見る世界

人間は乗り物を発明したと同時に、事故をも発明しました。死のリスクを背負い到達しようとしている境地は何なのか。生命現象と意識の謎を追求する中で、過去の航空機事故から人間と世界の矛盾を俯瞰し、安全への追求で見えてくる未来を考察してゆきたいと思います。

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